国土交通省は、1987年の都道府県向け建設経済局長通達「最低制限価格制度および低入札調査基準価格制度の活用について」を廃止し、建設業による地域の雇用確保や持続的発展する観点で価格設定するよう求める新たな通達を各都道府県・政令市に送付した。低入札価格調査基準価格が予定価格の84%程度になる中央公共工事契約制度運用連絡協議会(中央公契連)の算定モデルに沿うだけでなく、実情に応じてモデルの上限である90%に設定できることや、実際に90%に設定した地方自治体の事例を添付するなど、踏み込んだ内容となった。
新しい通達名は、「最低制限価格制度および低入札価格調査基準価格制度の適切な活用について」。小澤敬市官房建設流通政策審議官名で15日付で送付した。
通達では、国交省と中央公契連が、低入札価格調査基準価格の算定モデルを4月に改正し、設定範囲が予定価格の「70−90%」に引き上がったことを改めて示した。その上で、建設産業を取り巻く厳しい環境を踏まえ、87年の建設経済局長通達には示していなかった「建設業が地域の雇用を確保し、地域産業の中核として持続的に発展できるよう、適正価格での契約を推進する観点」との文言を明記。
中央公契連の算定モデルに沿うと、地方自治体の最低制限価格や低入札価格調査基準価格が予定価格のおおむね84%に設定されることから、「地域の実情に応じ、モデルの設定範囲の上限(90%)に設定するなど、算定式の改定や設定範囲の引き上げを適切に行うこと」とした。
さらに、実際に最低制限価格の算定式を、中央公契連モデルの上限である90%に設定した長崎県、佐賀県、新潟県の3県の算定式の事例を通達に添付した。国交省が通達に地方自治体の事例を添付するのは異例となる。
国交省の小澤建流審は、4月の建設関係専門紙との共同インタビューで、「地方自治体が、地域の実情や判断で調査基準価格や最低制限価格を設定範囲の上限(90%)に設定することは、経済状況、地域の状況をかんがみて時宜にかなったことだ」と通達改正の趣旨を説明していた。また、自民党の公共工事品質確保に関する議員連盟(品確議連、古賀誠会長)が、地方自治体に最低制限価格・調査基準価格を引き上げ、90%程度に設定するよう求める「緊急アピール」をまとめたことなどに対応した通達で、相当程度、踏み込んだ内容となった。
このほか、最低制限価格制度と低入札調査基準価格制度の対象工事拡大を求めた。いまだ全国市町村の2割が導入していない最低制限価格制度と低入札調査基準価格制度の活用・導入も求めた。